ここは水槽

 

 鬱でまた寝込んでいた。二回目のコロナワクチン、ばっくれちゃったよ。予約し直さなきゃ。

 クリスマスでしたね。やや正気に戻って、友人との合同のお誕生日会の計画が先延ばしになっているのを思い出して、お詫びの連絡をしたら、明日集まるけどどう、とお誘いをしていただいた。二十五日。友人宅に訪れ、鍋を作ってもらって食べ、お酒を飲んでお喋りしていた。二年前のクリスマスに、わたしの家に来た男の子らふたりと、あともうひとり。楽しかった。意外と関わらなくなってないものだなあ。ありがたい。そういえば、去年も十二月に、五人位で集まっていた。しかし、わたしの時間が止まっているのを痛切に感じてしまう。今のわたしは空っぽだ。

 寝込み続けても鬱は寛解しない。クリスマスだとかのイベントや、楽しい予定を立てるのは元々は好きだったはずだけれど、そんな気力は起きない。楽しさを享受し難い精神状態なのが現実だ。商店街に流れるクリスマスソング、イルミネーションでキラキラしている街、年末年始の区切りとか、いつからか苦手だ。強引に、さみしくさせてくるから。

 ベッドに横たわり天井を見つめる。ひたひたと水が床を浸していく。いつか溺死出来ると信じているのか。馬鹿馬鹿しい。気付けば、あらゆる気力が奪われている。ぬるい飼い殺し。連れ出してほしいと言える年齢ではもうない。これは甘えだが、わたしは藻掻くのにほとほと疲れたのだ。泳ぐのが下手なのかもしれない。

 死体になっても泳いでやるよ。